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zoom RSS 奈良紀行 10. 中宮寺

<<   作成日時 : 2017/06/30 10:22   >>

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・中宮寺 (4月28日)
 夢殿のある法隆寺東院の東隣に、尼寺である中宮寺がある。聖徳太子の母、穴穂邊間人(あなほべのはしひと)皇后の寺である。皇后は、蘇我馬子の姉・小姉君の娘として生まれ、異母兄の用明天皇の妃となって、厩戸皇子(聖徳太子)をはじめ四人の子どもをもうけたが、蘇我・物部の争いに絡み、悲運な運命をたどった。中宮寺はその宮殿を寺にしたといわれている。もとは現在地より東400bにあり、室町時代に移された。昭和42年に吉田五十八の設計で近代的な新本堂が建ち、美しい菩薩半跏像がその本尊として安置されている。
 本堂を池が囲み、また池の周りには黄金色の八重一重の山吹を植えてある。斑鳩の里にふさわしい尼寺としての雰囲気が感じられる。本堂に上がり菩薩半跏像を拝観した。私は、拝礼の後、畳の間の前方ぎりぎりまで近寄ってじっくり拝観してきた。
 この像は、飛鳥時代の彫刻の最高傑作と云われる。本来は肉身が肌色、衣が朱や緑青だったというが、今は全面黒漆塗りの美しい肌を見せている。救世観音や百済観音に感じられたような神秘性はうすれ、一歩人間に近づいた感じがする。微笑みの表現も一段と優しい、独特の美しさである。此の高貴な微笑みは「古典的微笑」(アルカイックスマイル)の典型として評価され、スフィンクス、モナリザと並んで「世界の三つの微笑像」と呼ばれているという。
 この半跏像は、日本に現存する仏像のなかでも非常に人気が高い像である。私の愛蔵書である和辻哲郎著「古寺巡礼」や亀井勝一郎著「大和古寺風物誌」では、この半跏像の美しさを絶賛している。和辻哲郎の「古寺巡礼」から一部を引用してみる。

 『あの肌の黒いつやは実に不思議である。(中略)あのうっとりと閉じた眼に、しみじみと優しい愛の涙が、実際に光っているように見え、あのかすかにほほえんだ唇のあたりに、この瞬間にひらめいて出た愛の表情が実際に動いて感ぜられるのは、確かにあのつやのおかげであろう。あの頬の優しい美しさも、その頬に指先をつけた手のふるいつきたいような形のよさも、腕から肩の清らかな柔らかみも、あのつやを除いては考えられない。(中略)わたくしたちはただうっとりとしてながめた。心の奥でしめやかに静かにとめどなく涙が流れるというような気持ちであった。ここには慈愛と悲哀との杯がなみなみと充たされている。まことに至純な美しさで、また美しいとのみでは言いつくせない神聖な美しさである。(中略)わたくしの乏しい見聞によると、およそ愛の表現としてこの像は世界の芸術の内に比類のない独特なものではないかと思われる』。

 本堂を出て池の橋を渡ると、向かいに会津八一の歌碑があった。美術史学者の会津八一は書家、歌人でもあった。
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        『 みほとけの あごとひじとに
           あまでらの あさの
          ひかりの ともしきろかも 』
 この隣にもう一つ小さな石碑があり、そこに次のような説明が彫られていた。『八一は大正九年一二月に中宮寺ご本尊を拝する。朝の光が、み仏のあごとひじにほんのりと射していた。静寂で清々しいご本尊のお姿に心ひかれて、八一はこの歌を詠んだ』。それにしても「ともしきろかも」とは何と難しい表現だろう。万葉集にでもありそうな、私の理解を超越した言葉である。



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