フォトひとり言

アクセスカウンタ

zoom RSS 新国立劇場の「ルチア」を観る

<<   作成日時 : 2017/03/21 09:59   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

画像

 3月14日、新国立劇場でドニゼッティのオペラ「ルチア」を観てきた。新制作で、当劇場では今回15年ぶりの公演である。
 演出はモンテカルロ歌劇場総監督のジャン・ルイ・グリンダ、そしてタイトルロールを歌うのは、現在スター街道を駆け上がっているロシアの名花オルガ・ペレチャッコである。彼女は、飛ぶ鳥を落とす勢いで世界中の名歌劇場で大活躍し、「ベルカントの新女王」と評されているコロラトゥーラ・ソプラノである。
 オペラ「ルチア」は、ベルカント・オペラの最高傑作と云われ、兄に恋人との仲を引き裂かれたルチアの悲劇で、ドラマのハイライトであり最大の聴きどころは絶望のあまり狂気に陥ったルチアが歌う「狂乱の場」である。
 『あらすじ』
 17世紀のスコットランド。ランメルモールの領主エンリーコは妹ルチアをアルトゥーロと政略結婚させようとしている。ルチアが宿敵エドガルドと愛し合っていることを知ったエンリーコは、恋人の裏切りを示す偽の手紙をルチアに見せ、結婚を承諾させる。真相を知らないエドガルドはルチアの裏切りを激しく責める。ルチアは正気を失い花婿を刺殺。血に染まったルチアが祝宴に現れ、錯乱状態のまま息絶える。すべてを知ったエドガルドも後を追う。

 ジャン・ルイ・グリンダの演出は非常に素晴らしかった。舞台は第1幕で波が打ち寄せる海岸の岩場で始まり、終幕まで岩場を中心に展開する。樹木や滝なども使われて美しい自然の描写があふれている。特に印象に残ったのは、第1幕最後の「愛の二重唱」の場面で、城と森の遠景をバックにした泉の岩場の情景である。「〜そよ風に乗って届くでしょう」と、ルチアとエドガルドが手を取り合って歌う美声に酔い痴れながら、あまりの美しさに、私は心の中でカメラのシャッターを押し続けた。
 第2幕と第3幕の城内の場では一転してオーソドックスな重厚な舞台である。そこで「狂乱の場」が繰り広げられるのだが、ルチアのアリアが10分以上も続く中で、幸せだった愛の日々を回想するシーンで、照明を落した舞台の後方から岩場がせり出してきて、彼女がそこに登って歌う。ルチアの回想と幻想を、歌と共に視覚的に表現させるこの演出には意表を突かれたが、素晴らしい発想であり、見事に効果を上げた演出であったと思う。(ただ、狂乱のルチアが登場する際、槍にアルトゥーロの首を串刺しにして出てきたのには驚いた。あまりにも残虐的であり、この点だけは頂けない。)
 さて歌手陣であるが、先ず、ルチアを歌ったオルガ・ペレチャッコ。さすが “ポスト・ネトレプコ” と云われるだけあって素晴らしいの一言に尽きる。第1幕の「暗い夜更け」や上に記した「愛の二重唱」で美しく鮮やかな高音に魅せられ、第3幕の「狂乱の場」では、珠を転がすようなコロラトゥーラの美しさは絶品であった。私は「ルチア」の公演を観たのは今回が2度目で、前の1度というのはフィレンツェ歌劇場の日本公演(1996年・東京文化会館)で、ルチアを歌ったエディタ・グルベローヴァのコロラトゥーラには完全に虜にされ、その後も彼女のサントリーホールのリサイタル等にも通ったものであった。今回のペレチャッコのコロラトゥーラは、そのグルベローヴァに匹敵するほどの見事なものであった。
 次に、エドガルドを歌ったイスマエル・ジョルディ。彼はスペイン出身のリリック・テノールで、エドガルド役は彼の最も得意とする役の一つであり、20世紀の名テノール、アルフレード・クラウス直伝だという。ジョルディは第1幕のルチアとの「愛の二重唱」を美しい声で歌ってとても良かったが、エドガルドの独壇場である第3幕後半で、アリア「わが祖先の墓よ」をゆっくりとした調子でエドガルドの真摯な心を謳い上げた歌唱は素晴らしかった。
 オーケストラは東京フィルハーモニー交響楽団で、とても良い演奏であった。特筆すべき点は、「狂乱の場」でドニゼッティが作曲した通りグラスハーモニカを使って演奏した事である。「狂乱の場」は、普通は、オーケストラ内のフルートが独奏を始め、ルチアのアリアとの協奏にと続くのだが、今回の公演ではフルートに代わってりグラスハーモニカで行われた。奏者はサシャ・レッケルトというガラス楽器の演奏家である。私は勿論初めて聴いたのだが、フルートよりもソフトな音色で、ソプラノの高音をより引き立てたと感じられた。




           ************************************
            筆者のホームページ
          ENAKA PHOTO GALLERY  http://www.enaka.jp/
           ************************************
         Copyright © Keiichi Enaka. All Rights Reserved.

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
すばらしい観劇記です。
mac
2017/03/22 06:09
macさん、いつも読んでいただき有難うございます。
e-naka
2017/03/22 10:36

コメントする help

ニックネーム
本 文
新国立劇場の「ルチア」を観る フォトひとり言/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる