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zoom RSS 新国立劇場の「ワルキューレ」を観る

<<   作成日時 : 2016/10/10 17:16   >>

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 10月2日に新国立劇場でワーグナーの楽劇「ワルキューレ」を観た。2016−17 シーズンの幕開け公演で、昨シーズンの序夜「ラインの黄金」に続く「ニーベルングの指輪」の第1夜である。「指輪」の中でも人気の高い作品で、「ワルキューレの騎行」をはじめ、「冬の嵐は過ぎ去り」など馴染みの曲も多い。飯守泰次郎芸術監督の指揮、ドイツの巨匠ゲッツ・フリードリヒの演出である。

 「ワルキューレ」の『あらすじ』
 ヴォータンは人間女性との間に双子の兄妹をもうける。妹ジークリンデはフンディングの妻となるが、再会した兄ジークムントと愛し合う。二人の男は決闘に。ヴォータンは息子に勝たせようとするが、妻フリッカに反対され、彼を敗北させよと愛娘ブリュンヒルデに命じる。しかし娘が背いたため、ヴォータンはフンディングにジークムントを殺害させる。一粒種を宿したジークリンデは森へと逃げていく。ヴォータンは愛娘を罰するため岩山に眠らせ、炎で囲み永遠の別れを告げる。

 歌手陣は、今回も世界的なヘンデルテノールであるステファン・グールドがジークムントを演じるほか、グリア・グリムスレイ、イレーネ・テオリンなど世界に名だたるワーグナー歌手が6名招聘された。ステファン・グールドは昨年「ラインの黄金」のローゲ役で絶賛を浴びたし、2010年の「トリスタンとイゾルデ」で歌ったトリスタンも大好評だった。私は彼の美声を聞くのは今度で3回目である。ヴォータン役はグリア・グリムスレイである。彼は今年の3月公演「サロメ」でのヨハナーン役の名演が記憶に新しい。そしてブリュンヒルデ役はイレーネ・テオリン。彼女は新国立劇場の前プロダクション「指輪」の「ジークフリート」「神々の黄昏」でブリュンヒルデを演じたお馴染みの歌手であり、また「トリスタンとイゾルデ」のイゾルデを上記のステファン・グールドと共演して素晴らしかったのを私は良く覚えている。
 10月2日の公演初日では、上記3人のほか、ジークリンデ役のジョゼフィーネ・ウェーバー、フンディング役のアルベルト・ペーゼンドルファー(この二人は新国立劇場初登場)、フリッカ役のエレナ・ツィトコーワという主要歌手6名はいずれ劣らぬ素晴らしい歌唱と演技であった。中でも圧巻は、グリア・グリムスレイ(ヴォータン)とイレーネ・テオリン(ブリュンヒルデ)であった。昨年バルセロナの「ワルキューレ」で二人は同役で共演済みだというが、さすがに息もぴったりである。第2幕での、ヴォータンが娘に明かす指輪奪還への真意と苦悩、翻る父の命令に戸惑うブリュンヒルデ。第3幕での、罪の重さを父に問う娘、娘に永遠の別れを告げる父。この二人の息をのむ演技と素晴らしい声に圧倒された。グリア・グリムスレイはあるインタビューで、『たいていの公演は、ヴォータンがブリュンヒルデに別れを告げる場面ではかなり感情的になっています。舞台上で涙を流して演じていますよ』と語っている。この日も涙を流して演じていたのかも知れない。
 ゲッツ・フリードリヒの演出は、前回の「ラインの黄金」と同様に光と色彩を有効に使った演出で、とても美しい舞台だった。特に、第2幕終了間際、ヴォータンが槍でジークムントの剣を砕く場面では、舞台が回って逆光のもとでジークムントがフンディングに刺される姿が非常に美しく見えた。これは私の席(1階前から2列目中央から少し右)からの方角で特にそう見えたのかも知れない。そして第3幕の最後、広い舞台一面に燃える炎の中、中央に横たわるブリュンヒルデを囲む色鮮やかな緑のヴェールの壁、この赤と緑が立ち昇る煙の下でとても美しかったのが印象的であった。幕が下り、客席の上まで流れる煙の中で、観客の熱狂的なカーテンコールがいつまでも続いた。
 全般的に素晴らしい演出だったが、私はいくつか違和感を覚えた点がある。一つは、第1幕で、フンディングが5人の手下(黙役)を従えて登場した事である。5人はあちこち動き回り、部屋の戸口を出たり入ったりして非常に目障りであった。そもそもこの場面はジークムント、ジークリンデとフンディングの3人の舞台で、それぞれが顔と顔、目と目が語り合う場面だと私は思っている。この5人の手下は、正直言って邪魔であった。もう一つは、第3幕、このオペラのハイライトである「ワルキューレの騎行」の場面で、8人のワルキューレが登場するのだが、なんと、それぞれが勇者の遺体を手押し車に載せて動き回る。しかも、半裸の遺体を、白布を剥がしたり覆ったり、触ったり跨ったり、私は非常に品がないという印象を強くもった。舞台前面に8人の遺体を乗せた手押し車を並べた場面に、馬を駆って天翔るワルキューレのイメージは少しも見られない。私は、この場面で名曲「ワルキューレの騎行」を好演奏しているオーケストラが気の毒にさえ思った。
 オーケストラは飯守泰次郎指揮の東京フィルハーモニー交響楽団。繊細な弦と美しい管の響きが良い好演奏であったが、上記のように、一番の聞かせどころで視覚的なダメージ(少なくとも私はそう感じた)によって、聴く印象を減じられたのは残念であった。
 ともあれ、2回の幕間休憩を含めて5時間半に及ぶ長時間の公演を、少しも疲れを感じることなく、十分に楽しむことが出来た。序夜の「ラインの黄金」はエゴイズムを描いたもので、この「ワルキューレ」が描くのは愛と別れである。「ニーベルングの指輪」も、見る回数を重ねるにつれて、その辺が良く分かってきたように思う。来年の「ジークフリート」と「神々の黄昏」が楽しみである。



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