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zoom RSS 奈良紀行 4. 唐招提寺

<<   作成日時 : 2016/07/19 14:18   >>

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・唐招提寺 (6月5日)
 唐招提寺が大好きという人は多い。先日も友人の一人が、私の写真(このページトップの写真)を見て、「唐招提寺は大好きな寺だ」と言っていた。また、有名人でも、瀬戸内寂聴は著書「寂聴古寺巡礼」の中で、『奈良には多くの名刹があるが、その中で唯一の好きな寺をあげよといわれるなら私は即座に唐招提寺をあげる』といっている。私も、47、8年前、唐招提寺に初めて行った30代の頃からこの寺が大好きで、以来機会ある度に何回も訪れている。
 私たちは、朝9時前に唐招提寺の南大門をくぐった。今日は鑑真和上像御開帳三日間の初日なので、混雑を予想してのことである。門を入ると正面に、金堂が、どっしりした安定感のある姿を見せる。この光景は、一度でも唐招提寺を訪れたことのある人は、記憶が決して脳裏の奥から消えることはないだろうと思われる、ショッキングともいえる素晴らしいものだ。この日は早朝から小雨が降っており、あの梯形の屋根は、両端に美しい曲線を見せながら、濡れて光り輝いていた。
 和辻哲郎は、古典ともいえる名著「古寺巡礼」で、唐招提寺金堂の美しさを詳しく述べた後、次のように記している。
 『正面から見るとこの堂の端正な美しさが著しく目に立つ。それは堂の前面の柱が、ギリシャ建築の前廊の柱のように、柱として独立して立っているからかも知れない。しかし屋根の曲線の大きい静けさもこの点にあずかって力があるであろう。もちろんこの種の曲線はギリシャの古代建築に認められるものではない。 (中略) 従ってこの曲線の端正な美しさは東洋建築に特殊なものと認めてよい。その意味でこの金堂は東洋に現存する建築のうちの最高のものである。』
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 金堂には本尊廬舎那仏像をはじめ多くの国宝が安置されているのだが、今回は鑑真和上像の御開帳拝観が主目的なので、あまり混まない内にと、先ず新宝蔵へと向かった。
 鑑真和上像は通常御影堂に安置されて、毎年6月6日の開山忌の際、前後3日間だけ公開されているのだが、平成27年から御影堂の平成大修理が始まり、約5年間は御影堂は拝観できない。この間、和上像は新宝蔵に遷座し、6月の御開帳も新宝蔵で行われている。
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         (この写真は「鑑真大和上参拝記念」のカードから)
 唐の高僧鑑真は、聖武天皇の願いに応えて来朝を決意した。私は今度の奈良旅行に出る前、井上靖の名作「天平の甍」を再読してきたが、この小説にあるように、鑑真は五度の渡航に失敗し、それでも尚日本への渡来をあきらめず、六度目にようやく成功して来日した。その間12年、鑑真は67歳になっていた。しかも度重なる渡航の疲労や潮風に冒され、日本に着いた時は失明していた。来日した鑑真はわが国に戒律を伝え、天皇から大和上の称号を賜った。その後晩年に、戒律を学ぶ道場として創建したのがこの唐招提寺である。
 天平宝字七年(763)、弟子の僧忍基が夢に講堂の梁が折れるのを見て、和上の遷化(死)が近いことを悟り、他の弟子と共にその姿を写して等身大の像を作ったといわれる。それがこの鑑真和上像であり、わが国最古の肖像彫刻として最高傑作と定評のある国宝である。
 私たちは、9時前に寺に入り真っ先に新宝蔵に来た。例年の混雑ぶりは聞いていたが、雨のためか、思ったより長くは待たずに入ることが出来た。新宝蔵の中では、一番奥に設えられた和上像前にテープで誘導されて数十人が並んでいてしばらく待たされる。
 鑑真和上像とは私は2度目のご対面である。10年ほど前に東京国立博物館で開かれた「唐招提寺展」で鑑真和上像が廬舎那仏像などと一緒に展示された時以来で、唐招提寺で拝観するのは初めてである。鑑真像は、静かに目を閉じて瞑想している姿で、その表情は微笑んでいるような、また、泣き悲しんでいるようにも見える。
 松尾芭蕉は、貞享五年(1688)に「笈の小文」に綴った旅の途中で奈良に立寄り唐招提寺を訪れて和上像を拝した。「笈の小文」には次のように記している。
『招提寺鑑真和尚来朝の時、船中七十余度の難をしのぎたまひ、御目のうち潮風吹入て、終に御目盲させ給ふ尊像を拝して、
   若葉して 御目の雫 ぬぐはばや 』
 芭蕉の目には、和上の御目から清らかな涙がしたたり落ちているように映ったのかも知れない。境内には、この芭蕉の句碑がある。
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 和上像拝観の後、境内の奥にある鑑真和上御廟に参拝した。そこに至る参道の両側は美しい苔庭になっている。そこで私は持参のカメラで、しばし写真撮影を楽しんだ。
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 最後に、もう一度金堂に戻り、堂内の諸仏を拝した。金堂内には、本尊の廬舎那仏像をはじめ九体の国宝の仏像が安置されている。私は今回、廬舎那仏像の左に立つ千手観音立像のお顔がとても柔和な表情に見えたことが、強く印象に残っている。



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